同人誌『Nobody Knows You. vol.07』

同人誌『Nobody Knows You.』vol.07を発行しました。東日本大震災から13年目を迎え、ここ数年東北の沿岸部を訪れると巨大な防潮堤や道路などのインフラ整備もほぼ終わり、真新しかった住宅地や工業団地もひと昔とは異なった落ち着きを見せている。ただ津波による行方不明者は、いまだに死者として数えられず行方不明者のまま。かけがえのない人を失った方にとって、震災は過去のことではなく、時間が悲歎を和らげることはあっても喪失感を抱えたままだ。
とある夏の夜、沿岸部の駅で季節に不似合いなコートを着た女性がタクシーに乗車し、運転手へ目的地を告げた。「あそこはほとんど更地ですが、構いませんか」と聞くと、「私は死んだのですか」と答え、驚いた運転手が後部座席を見ると女性は消えていた。タクシーの運転手の方や住民の方々が経験した霊体験を記録した社会学者の本からは、大きな災害後の不思議な事象から被災地の死生観について考えさせられる。幽霊は何を伝えようとしたのか、何を見たいと思ったのだろう。大切な人を亡くして残された人達は、悲痛な現実とどう折り合いをつけて生きてきたのだろう。被災地で語られる霊体験は犠牲者と残された人たちとの結び付きであり、死者が生きた証しなのだろう。

◎同人誌『Nobody Knows You. vol.07』

・発行日：2024年4月
・発行元：©Nobody Knows You.｜Masaaki Akama
・サイズ：縦272mm × 横406mm
・パッケージサイズ：縦310mm × 横224mm
・仕様：64頁、モノクロ、クリアケース入り
・価格：¥1,200（税込）
・執筆者：執筆者：青野ともえ、赤間政昭、石井睦子、乾久子、鎌田千瑛美、管野圭子、黒澤勝規、黒澤優子、小島雄次、抄季、鈴木康人、野村浩平、吉田桃子、泖
・企画・編集・デザイン・写真：赤間政昭
・写真提供：青野ともえ、乾久子、長船恒利、鎌田千瑛美、管野圭子、黒澤勝規、鈴木康人
・アートワーク：野村浩平、赤間政昭
・撮影協力：omoto、森田良三（王芳）、時雨、Book&Cafeコトウ
（敬称略）

※Book&Cafe コトウ（福島市）で取扱中。取扱店は随時追加します。
※レターパックライト発送のため、1回のご注文毎に別途送料370円かかります。
※『Nobody Knows You.』の取扱店を募集中です。お問合せはメール（akama@crux.ocn.ne.jp）で。